エストニアの小さな町カネッピ 街のマークがなぜ大麻の葉なのか

オンライン投票ではこれまでにイギリス政府の調査船の正式名をBoaty McBoatfaceというふざけた名前にしたり、ニュージーランドの新しい国旗のデザインにレーザービームを出しているキーウィ鳥を採用したり、人気歌手のジャスティン・ビーバーの次回ツアーの行先を北朝鮮にしたり、様々なことが決定されてきました。どれも実現されることはなかったのですが、今回は違うようです。

 

「実に民主的なプロセス」カイド・クイーブ町議会議長

 

エストニアのカネッピ町はオンライン投票での圧勝を受け、大麻の葉を町の新しいシンボルマークとすることを今週発表しました。人口5,000人に満たない地域で投票総数約15,000のうち12,000票近くがこの新デザインに集まったのです。町議会はこの決定をかろうじて採択。近々標識や公式文房具、さらに町旗としてもお目見えすることになりました。

 

しかし喜んでいる人ばかりではありません。

 

「あのような旗のもとに集うなどできませんよ。」町議会議員アルノ・カック氏は水曜日にニュースを報じたロイター通信の取材にこのように答えました。

 

一方で議長のカイド・クイーブ氏は「実に民主的なプロセスだった」とコメントしています。

 

エストニアでは大麻の販売は違法です。またわずかでも所持していると罰金刑になります。しかし薬物としての大麻は禁止されている一方で、植物としての大麻はここでは長い歴史を持っているのです。そもそも町の名前カネッピは「カネップKanep」という単語から派生したもので、エストニア語で「大麻」を意味します。

 

カネッピ町では主に油や布地の原料として何百年も昔から大麻の栽培・加工をしていたことがわかっています。このことこそが町名の由来となったのです。

 

「今日では大麻の葉といえばまず娯楽用ドラッグと結び付けられてしまう。しかし現実には麻としての大麻草は実用品として長年、様々な用途で活用されているわけです。」アンドロス・シーメ町議会議員はAFP通信の取材に対してこのように答え、町の新しいシンボルとして大麻の葉を掲げることに「何も問題ない」とコメントしました。

 

「地元の産業としてオーガニックの麻実油や大麻粉を製造しているところもありますよ。」シーメ議員によれば町のパン屋ではヘンプ・シード(大麻種子)を使用したパンが並び、麻繊維を混ぜ込んだコンクリートを製造する企業があるといいます。

 

町の正式な旗に大麻の葉を掲げる。元々は軽い冗談のつもりだったのでしょうが、面白く思わない人もいるでしょう。しかしそもそもの町の名前の由来自体が「大麻」だったのです。

出典:Leafly