カンナビディオル(CBD)は安全で、陶酔作用はなく、様々な医療用途で処方されるとの多くの評価を得ている。ではなぜ非合法でスケジュール1ドラッグ(常に使用を禁止されるドラッグ)なのか。専門家によると答えはシンプルで、大麻の禁止法が、この価値あるカンナビノイドを研究し生産するのに巨大な障壁となり続けているからだ。

CBDとは?そしてどうして非合法となったのか?

CBDは大麻中に最も豊富に含まれているカンナビノイドのひとつで、大麻中で一番の活性物質であるTHCに次ぐ含有量の多さである。THCと同じく、CBDも幅広く医学的な効能があり、てんかん、うつ、不安、痛み、炎症、依存性のような症状に効く。THCと異なるのは、CBDには陶酔作用はない。利用者は「ハイ」にならない。

CBDの知名度があがってくるにつれ、CBDの市場も拡大してきた。大麻製造業者から麻農家まで誰もが需要を満たす商品をつくっている。シャーロットウェブのようなチンキ剤からダーティレモンのような飲料材まで、麻から作られたCBD商品の多くはウェブ上でも米国中の店舗でも購入できる。

しかし、法規的には、これらの麻からできたCBD製品の多くは非合法で、州をまたいで持ち運びすることは複雑な法的問題を発生させる。政府は時折店舗に突然立ち入り商品を差し押さえることで法律の迂回行為を取り締まっている。直近ではテキサスのグリーンゴリラ電子タバコ店とミズーリのピースオブマインドに立ち入りがあった。ピースオブマインドの共同経営者のスコット・マイク氏によると、「差し押さえられたCBD製品はウォルマートやターゲットによって運送されたもので、当然合法だと思っていました。法律は私のようなビジネス経営者や政治家でさえ何が合法で何が合法でないかわからないような言い回しや表現がてんこ盛りです。」

実際、麻からできたCBD製品の合法性は様々な解釈が可能だという政治家もおり、また、将来の判例、つまり麻薬取締局によるスケジュール薬品の変更も明確化に拍車をかけそうだ。

カリフォルニア州の公共衛生局は状況を明確にしようとしている。産業的な麻はカリフォルニアの食品としては許可されないという声明を最近発信した。

それではどうしてこの効能があって陶酔作用はない医薬品が非合法になってしまうのか。「簡単なことです。大麻の禁止法のせいです。そういうわけで大麻は非合法なだけで、嘘にまみれているのです。」(CBDプロジェクトのマーティン・リー氏)

大麻禁止法は1930年に施行され、ニクソン大統領の時に強化されたのだが、有色人種や反戦活動家を取り締まるのを容易にするために政治家たちが推進した。政治家たちは逮捕事実をもっともらしくするために、大麻についてあらゆる嘘をついた。ニクソンの最高顧問であるジョン・エンリッチマンでさえ、大麻を不法薬物にすることは手段であると認めた。「ドラッグについて嘘をついたのをわかっているかって?もちろん。」(エンリッチマン)

これらの反大麻運動による誤った情報のせいで大麻に対する底知れぬ恐怖と誤解が醸成された。その結果問題は一般的な大麻とCBDとの間の混同にまで続いてしまっている。

CBDが合法であるべき証拠

CBDはスケジュール1ドラッグであり、医療にも利用できず、乱用のリスクがあるドラッグである。しかし、CBDがこの規制から外れるべき証拠が蓄積してきている。CBDに関するWHOの報告によると、CBDは安全で乱用リスクはない。そして最近エピディオレックス(GWファラマティカルのCBDベースのてんかん薬)がFDAの承認をえた。

FDA委員長のスコット・ゴッドリーブは報道向けの声明でエピディオレックスの承認獲得を称賛し、「FDAの医薬品承認プロセスは患者の皆さんへの最も適切な治療法となりました。そして大麻由来の製品の承認をえたい開発者にも道が開けることになったでしょう。」と述べた。

これらの厳しい承認プロセスを通過したことでCBDには医薬品としての潜在能力があることが示されたし、米国内でCBDがまもなく利用できるまで、DEAには次の90日間でスケジュール薬品の変更をするよう圧力がかかるだろう。「選択肢はなく、スケジュール2か3薬品にするしかない。」(バーバラ・カレノDEA広報官)

NIDAでさえCBDに賛成のスタンスをとっている。「NIDAは可能な限り、この価値ある化合物だけでなく、大麻に含まれる化合物の研究を進めます。」(ノラ・ヴォルコフ医師)

CBDが非合法のままだと考えられる理由

この証拠とCBDへの支援にもかかわらず、なぜながらくCBDは非合法なのか。

「究極的には連邦政府レベルの意思決定者の誤った思い込みのせいです。供給源に関する問題と他のカンナビノイドを産出できる植物からできているかという問題があります。」(大麻政策プロジェクトのメイソン・タバート)

大麻から供給されることは簡単には克服できない問題です。規制物質法では大麻からできている物に厳しい規制を課しており、エピディオレックスがFDAの試験を通過したといっても、それも簡単なことではない。「非常にカネのかかることです。そしてGWはこの点で先駆者です。漢方薬であることとFDAの医学的な承認を得ることを同時にやってのけたのです。簡単なことではありません。」(マーティン・リー)

コストだけでなく、規制障壁も大麻を研究するのを困難にしている。「大きな障害は大麻の研究には1施設で採取した大麻しか認めないという規制です。オバマ大統領時代にははこの問題を連邦政府が認可した栽培施設の数を拡大することでかいけつしようとしました。しかしセッション司法長官はこのプログラムの施行をしようとせず、この2,3年で提出された26件の申請にもまったく対処していません。」(ショーン・ハウザー;大麻関連の法律専門の弁護士)

しかしまだ望みはある。ハウザーによると医学的な必要性に基づき、規制物質法に異議申し立てをする法的根拠はあるとのことだ。DEAへのスケジュール薬品の変更圧力と最高裁での聴聞を控えて、CBDは近い将来スケジュール1ドラッグから除外されるだろう。