5月下旬の木曜日夜、バンドのザ・トラジカリィ・ヒップはオンタリオのスタジオで小さな集会を主催しました。40人ほどのゲストに対してサーモンとステーキのディナーと、カナダのミュージシャンダラス・グリーンによる演奏を披露しました。パーティーの途中、バンドのギタリストであるポール・ラングロイスは19世紀にアレンジされた家の前に立ちゲストに対して話しだしました。

 

「来てくれて大変光栄です。私たちのスタジオを皆さんのために開けられることを大変うれしく思い、またマリファナを通して関係を作っていけることを楽しみにしています。」

 

このイベントはバンドのアップ・カナビスというオンタリオのライセンスを受けた大麻プロデューサーとの提携を促進するために主催されたものでした。

 

有名人によっては、大麻の企業との連携はただ名前を書き加える以上の意味を持ちます。しかしヒップがアップ・カナビスの親会社であるニューストライク・リソーセスと契約して一年たった今、バンドと会社の関係はどんどん成長していっています。

 

ヒップは去年の5月初めてパートナーシップを結んだ時からアップ・カンナビスの投資家であり、会社の6%分の株券を保有しています。しかし彼らの会社との関係は投資以上の意味を持ちます。

 

「大麻はバンドメンバーが商品として非常に興味を持っている代物です」とニューストライクのCEOであるジェイ・ウィルガーは語ります。「この国の多くの人同様、彼らはこの業界をみて早い段階からのチャンスを見出したのです。彼らはこの契約を商売目的だけでなく、クリエイティブになれるチャンスともみているのです」

 

大麻業界の社会的地位の影響もあって、会社が設立したての半年間は困難の連続でした。「バンドとのパートナーシップを組んだときは、私たちにとっては新たな試みでした。」とウィルガーはいいます。「どのようにして商品を市場に持っていくか模索中でした。どのような政府の規制が入るのかわからず、何ができて何ができないのかわからない状態でした。」

 

その上、会社とバンド両方にとって乗り越えなければならない問題は数多くありました。

 

去年の終わりごろに、ニューストライクは同じライセンス済みの大麻プロデューサーであるカニメッドとの合併を決定するところでした。しかし、カニメッドが撤退し業界の巨人であるオーロラとの交渉に戻ってしまいました。「一連のことのせいで我々は次にどのような方針で進んでいくべきかわからなくなってしまい、会社の動きも止まってしまいました。」とウィルガーは話してくれました。

 

これが起こっていると同時に、ヒップの顔であるゴード・ダウニーの健康状態が悪化してしまいました。10月には、カナダの偉大な詩人として称えられたダウニーは勇敢な脳がんとの闘いのあと、域を引き取りました。彼の死はほかのバンドメンバーと何万人ものファンを絶望させました。

 

しかし1月までにはバンドもニューストライクとの交渉に進めるほど立ち直りました。ビジネスパートナー同士かれらは次の春に向けて新たなブランドの作成に取り掛かりました。

 

この五か月間ヒップのメンバーは会社の執行取締役と話し合い、新たなブランドとその宣伝作戦についての協議を積み重ねてきました。バンドはオンタリオに設立した新たな会社の施設も訪問しました。

 

ウィルガーによると、バンドのマネージャーであるバーニー・ブリーンとパトリック・サムブロックの貢献度は非常に大きいそうです。「特にクリエイティブな方面のことに関して、彼らはヒップのファンを含めどのようにカナダ人に対してメッセージを送っていくべきについてマネージャーの力を借りました。」ロゴデザインやSNSでの発信についてもバンドメンバー全員の力を借りて進めていったそうです。

 

「アップ・カンナビスの人たちと仕事するのはとても楽しいです。心の底から私たちの意見を聞いてくれます」とラングロイスはいいます。「だからこそ全面的に協力していきたいと思います」。

 

ウィルガーが語ってくれたように、「私たちは最初から全国的なブランドになっていくつもりだったので、カナダ人全員にアピールすることを目標としていました。ヒップは小さい町から大きな町までカナダ中を旅したことがあります。カナダのことをよく理解している彼らは実に大きな戦力となっています。

 

もちろん、カナダ人にとってヒップがなじみ深いバンドであることは大きな助けとなっています。彼らの9つのアルバムがカナダのトップチャートに乗り、カナダの地形と歴史に重点をおく歌詞のおかげでBBCには「最もカナダ人らしいバンド」とまでいわれています。

 

「カナダに対してのブランドを作っていく中で彼ら以上のパートナーはいるでしょうか」とウィルガーは地元の新聞に話しました。「私たちにとってのヒップはもはやただのバンドではありません。本当のカナダ人のような気がしてきます」。

 

ウィルガーによるとこのパートナーシップは願っていた通りうまくいったそうです。「私たちはただの顔見知り以上の関係を求めていました。そしてヒップとは本当のパートナー以上の関係となれました。実に充実した仕事でした」。

 

ウィルガーは次に、夏に向けてあらたなプロジェクトを計画しているそうです。

出典:Leafly