光源とエアコンと湿度管理

Gary Howard氏は20年近く大麻栽培のノウハウを持っている人物で、そこには決して出費を惜しんではいけない3つの要素があるといいます。

その要となるのが湿度管理で多くの栽培者は大麻の室内栽培に関し、たくさんの失敗をしていると同氏は言います。

メーン州のUrban Garden Centerの運営者であり、かつSafe Alternatives Dispensaryの代表取締役社長であるHoward氏はこれまでに栽培者のいくつか失敗例を見てきました。

小さすぎる除湿器の設置や室内の空気循環の悪さが成育環境の悪化の原因になります。

出典:Leafly

私たちが見た栽培者の最も大きな失敗の原因は、彼らが栽培を始めた時、湿度管理にお金を使いたくないという考えにあるとHoward氏は言います。

 

彼らはうどん粉病の原因となる白カビや芽腐れ病のような問題が大きくなってきてから初めて深刻さを知るのです。

Howard氏とClif Tomasini氏はもう1つの会社Quest Dehumidifiers社の事業担当ディレクターです。

2氏は実証済のヒントを知っています。

そのヒントに基づけば趣味で栽培する人から業務用に栽培する人を含め、全ての室内栽培者が大麻栽培に必要とする最適な湿度を設定することができるのです。

栽培室の気密性と断熱性

Tomasini氏は「建築技術の進歩は長い道のりでした。湿度管理とは確実に栽培室を断熱することを意味しています。これは安定した栽培環境を作る為に必要な最善策の一つです」と説明しています。

 

業務専門の栽培者は栽培室と室外の間に発泡断熱材の様な薄い壁を作る方法を知っていて実際にこの方法を取り入れています。

このことは室外の湿度が高い地域だけでなく、コロラド州やニューメキシコ州を含む場所でも重要な事です。

 

Tomasini氏は「この断熱材は風や湿度、直射日光のような成育に影響する外部因子をブロックします。幸いにも適切に断熱が施された室内では湿度が上昇する要因を寄せつけません」と説明しています。

室温管理

室温をコントロールすることは全ての栽培者にとって共通のキーワードです。

「栽培者は過度に温度管理をやってしまうようです。私たちは直感的に大きめのエアコンを使う事が解決策じゃないかと思いがちですが、実際にはエアコンは大き過ぎても小さ過ぎても、室温に変動をもたらすので、栽培植物が必要としている湿度レベルに影響を与えます。」とTomasini氏は言います。

 

温度、湿度の2つの因子は空調システムの機能である不感帯と短期循環システムに関係してきます。

 

(不感帯とはエアコンの冷房/暖房のどちらの機器も運転されない温度帯の事。この帯域を拡大した場合、長時間にわたって冷房・暖房機器が動作しないことがあります)

 

不感帯とはサーモスタットに設定されている3度から5度のカ氏温度の設定範囲の事です。エアコン装置が冷却した空気をキープして循環させる為の温度の上限及び下限の数値は、空気の冷え過ぎ防止します。

出典:Leafly

この不感帯のレンジ幅により大きすぎるエアコン機能は短い圧縮サイクルで冷却した空気を巡らせるために、相当のエネルギーを消費するだけでなく、急激な室温と湿度の上昇と下降を引きこし、栽培植物の生育環境を不安定にする原因となります。

 

大きすぎるサイズのエアコンは、栽培者だけの問題ではありません。

エアコンサイズか小さすぎると、室温は徐々に上昇します。

室温が上がるということは、一定の温度の中で繁殖した大麻植物がしおれてしまう主な原因になります。

 

Tomasini氏によれば、効果的な室温と湿度管理の方策は、適切なサイズのエアコンを設置することだと言います、

そうすることで、一定して空気の循環サイクルが機能します。

効果的な空調を長時間継続する為には不感帯の温度設定数値の変動を最小限にすることです。

 

適度な室温と湿度の循環サイクルのグラフ上では急激な上昇と下降を繰り返す実際の測定値と比べると、短い波が長く続いているように見えます。

 

空調機のサイズを選ぶ為には、栽培する場所、栽培する為に使用する照明の数、栽培室の断熱の度合いを把握することが必要です。

 

「空調の循環サイクルを短くすることは室温を急速に上昇させてしまいます。

湿度は室温に関わってくるのでもし室温が下がったら、湿度は上がり,逆もまた同様の関係となります。これらの温度と湿度の変動は成育植物に影響を与え不安定な成育環境を生じさせ,そこにうどん粉病菌が付着してしまうのです。」とTomasini氏は説明しています。

 

空調設備が適切なサイズであれば、植物は大気からより多くの水分を取り込むので除湿器の仕様頻度は減らせますし、植物にとってはより馴染んだ成育環境となります。

空気の対流は必須条件

保水力にも関わらず、湿度を含む室内の空気は外気より軽い為、すぐに温度が上がります。

二酸化炭素は植物の成長に重要な役割を持っていて、室内の床近くに留まります。

この理由によりHoward氏とTomasini氏は植物の健康的な成育の為に空気循環は重要な構成要素だということを認めています。

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Howard氏は「空気の対流は重要ですが、ウォールファンでは不十分です。床置き式の扇風機は空気を成育エリアにバランスの取れた湿度と二酸化炭素を巡らせるので簡単に空気の対流問題を解決できます。冷たい室温は空気を対流させません。我々は部屋の上方から床、壁に向けて空気を取り入れる必要があるのです」と説明しています。

貯留水の管理

栽培者が実行できる簡単で費用の掛からない方法は湿度管理と効果的な水やりであるとTomasini氏は言います。この簡単な解決策は一般的によく見落とされている要点の一つです。

 

栽培者は過度に水をやり過ぎた場合、地表に留まる水たまりによって不要な湿度が広がらないように適切な排水処置をしなければなりません。

更に成育スペースに置いてあるあらゆる水タンクは所定の位置で蓋をしておきます。

Tomasini氏は「私は湿度管理システムが組み込まれた成育状況を観察してきましたが、未だに湿度レベルが流動的に見えるのです。時々、大きな貯水容器が室内で蓋がで覆われないまま放置されていますが、これは必要以上の湿気を室内に放出してしまいます」と述べています。

専用除湿器を使う

Howard氏のこれまでの経験から、「湿度管理をする場合、専用の除湿器を使う事は言うまでもありませんが、除湿器を置く場所は、特に部屋の角はやめた方が良いです。また、大規模な小売店で安い65-pintサイズの除湿器を買い求めても、そのサイズではわずかな湿気しか屋外に排出できないので除湿の意味がありません。」と述べています。

次に述べる2つの理由から住居用の除湿器の使用は、栽培室ではお粗末な選択と言えます。

第一に、住居用除湿器はかなりの電力を消費するわりには除湿機能が不十分です。

結果的に電気代が高くつきます。

第二に重要な事ですが、住居用除湿器は業務用除湿器が必要とする栽培室での除湿力が不足しているのです。

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Howard氏いわく、「業務用除湿器は初期の投資費用としては高額に思えるかもしれませんが、カビ菌の問題であろうが費用の問題であろうが、栽培者が一度,問題を抱えた場合、すぐに解決できます。電気代や住居用除湿器から業務用除湿器への取り換え費用は、最終的に、ペイオフできます」

 

空調機と同様に最適な除湿機のサイズを知ることも重要です。

植物は自ら取り込む水分の97%を放出するため、空気中の湿気を排出する為に大きめの除湿機もしくは除湿機能搭載の機械が必要です。

もし、稼働中の除湿機1台にメンテナンスの必要が出た場合、残りの台数で効果的に除湿機能が稼働します。

 

「何が成育を止める要因になるか決して予想できません。

また栽培者は沢山の生産条件や収益の問題ももっています。

複数の除湿機や空調機を多めに所有することは、湿度の急激な上昇によるカビ菌の付着などの最悪なシナリオを防ぐ方策となります。」とTomasini氏は述べています。