大麻産業界の最近の傾向はこれまで主流だった吸引用の大麻草の花に代わり、食用や濃縮製品などの大麻成分を抽出した製品全般がブームです。いくつかの市場では花の取引が50%下落し、代わりにこうした大麻成分抽出プロダクツ関連が人気を集めているのです。花(バッズ)関連の取引は依然として大麻産業界の中では優位を占めてはいますが、成分抽出プロダクツの成長スピードは群を抜いています。

実質的に大麻成分の濃縮製品を制限し、食用も除外しているカナダにおいてさえ、成分抽出プロダクツの成長幅は顕著です。

 

THCやCBDといった大麻草に含まれる化学物質カンナビノイドを抽出するにはいくつかのやり方があります。一般的なのは炭化水素を用いる方法です。例えばブタン、CO2、アルコール、水でも可能です。かたや‘ロジン’と呼ばれる抽出法は溶液を一切使いません。抽出方法の違いによって安全性、味、効能、そして値段は変わってきます。

 

抽出用の機械を販売する企業は多くあり、なかにはWaters社(ニューヨーク証券取引所NYSE:WAT銘柄)などのグローバル企業もあります。これまでも業界では大麻関連の器具を専門に扱う企業はありましたが、カナダに本拠地を置くAdvanced Extraction System社、Apeks Supercritical社、Eden Labs社、MRX社などどれも株式公開をしていない小規模な企業ばかりでした。

 

成分抽出プロダクツの成長幅に着目しチャンスとみている投資家が、製品そのものを購入する以外にこのトレンドにのるには方法が限られます。以下に大麻成分抽出関連の注目企業5社を挙げておきます。ただし購入をおすすめしているわけではありません。

 

CannaRoyalty 吸引カートリッジで大成長

(カナダ証券取引所CSE:CRZ銘柄)(店頭取引OTC:CNNRF)

成分抽出は基幹事業のひとつ。研究、分析、ブランド戦略、販売なども行っています。アメリカとカナダでロイヤルティ、持ち分、ライセンスなどに関する取決めの認可を受けています。

 

2017年11月に発表された経営戦略はかなり詳細なもので、大麻抽出関連で言えばMüV,社が販売した大麻用電子タバコとカートリッジなどの商品のロイヤルティ収入がありました。また後述するKaya Management社の買収を最近発表しました。

 

更にはカルフォルニアのAbsolute Xtracts社とのライセンス契約を結び、ワシントンとカナダへのブランド展開をしています。完全子会社のDream Catcher Labs社はカートリッジを生産。さらにオレゴン州のRich Extracts社とは合弁企業の共同パートナーですが、同社のCEOが麻薬取締法違反で逮捕されたため現在取引は中断しています。大麻成分抽出関連商品は既存ブランドでも扱っていますが、特化した新ブランドThe Terpistryを現在立ち上げ中です。

 

Kush Bottles ヴェイポライザーとテルペンに注力

(店頭取引OTC:KSHB銘柄)

パッケージ事業で成功していましたが、気化装置ヴェイポライザーを取り扱うCMP Wellness社の買収をきっかけに大麻成分抽出関連事業に進出しています。

第三四半期では総収入は倍増。米証券取引委員会に提出された年次報告書によれば、見込みベースで全社の年間総収入2570万ドルに対しCMP Wellness社の年間総収入は1240万ドルとなっています。

 

ほかに一部の植物から採取できる化学物質テルペンの製品シリーズを展開しており、成分抽出商品のトレンドのさらに先をいこうとしています。

 

Neptune Wellness社 オキアミから大麻へ主軸変更

(トロント証券取引所TSX:NEPT銘柄)(NASDAQ:NEPT銘柄)

オキアミから抽出するオメガ3脂肪酸を中心事業としていましたが、2017年にオキアミオイル事業の全てを3400万ドルで売却。カナダで大麻製造のライセンスを取得し、ケベック州に500万ドルを投じて拠点を展開中です。

先日ニューヨークで開催されたアナリスト向けの説明会ではより詳細な事業戦略が発表されました。オキアミ事業と同じように加工品に特化すること、独自のブランドを確立することなどを計画しています。

 

Quadron Cannatech 次世代装置が強み

(カナダ証券取引所CSE:QCC銘柄)(店頭取引OTC:QUDCF銘柄)

カナダに本拠地をおき、成分抽出の自動化と溶剤の加工に注力しています。他社製品と汎用性のない、自社製品にのみ使用できるカートリッジ製品を製造しています。

この閉鎖的な戦略は会社の将来性を狭めることにもなりかねない一方で、新たな取引も産んでいます。

 

同社のサイバネティック(人工頭脳学)部門では、成分抽出自動化と製造に関する知的財産権を保有しており40以上のクライアントがいます。Soma Labs Scientific研究所はCO2による超抽出法を確立させ、臭気中和剤の専門会社Odorchem社との3年間の研究契約から収入を獲得しています。2017年までに2つの新部門立ち上げを見越しています。Greenmantleプロダクツ部門はカナダと全米で気化装置ヴェイポライザーのカスタマイズ商品を提供する予定で、ワシントン州のLucid Lab社と流通提携にこぎつけています。

 

Radient Technologies 食品業界での知見を新事業に

(トロント証券ベンチャー取引所TSXV:RDI銘柄)(店頭取引OTC:RDDTF)

元は食品の成分抽出を本業とする会社ですが、近年その成分抽出技術をもって大麻関連に進出しています。 New Cannabis Ventures社の顧客であり、出資者でもあるAurora Cannabis社(トロント証券取引所TSX:ACB銘柄)と戦略提携をしており、カナダで合法化される大麻草からのCBD抽出技術を提供していく計画です。

大麻草の成分抽出事業に乗り出したのは最近で、2016年の終わりごろです。初期研究で電磁波アシスト加工法(MAP)は抽出時間を短縮でき、効率化により1日あたりの処理量は1500㎏にも達するとあり、カンナビノイドとテルペンが着目されたのです。カンナビス・オイルの製造を見越しカナダ国内のライセンスを取得済で、さらに販売ライセンスの取得を目指しています。

 

まとめ

大麻抽出プロダクツに直接投資をするのは難しいですが、このトレンドの影響を受けている企業は複数でてきているのでそちらに注目してみましょう。

出典:Leafly