8月下旬の火曜日の午後、Jacob Taylor氏はトラックの中で電話を受けました。これは普通のことではありません。原住民所有で社会経済開発企業として稼働するPontiac Groupの半分を担うTaylor氏は、最近多くの電話を受けていました。
パートナーであるJonathan Araujo氏と一緒に、コミュニティと他の企業を含め、Pontiac Groupは財務ビジネスの機会を支援しています。そのパートナーシップのうちの一つが、北オンタリオ州Wahgoshig First Nationとカナビス認可生産者のDelshen Therapeutics社の取引です。
Wahgoshig First Nationは、2015年後半に、カナビス生産企業と取引に調印したカナダで初めての原住民コミュニティです。コミュニティは200万ドルをDelshen社に社債投資しました。
この取引はどちらの側にもメリットがあります。Delshen社は必要な資金を手にし、コミュニティはDelshen社の原住民としての役員のポジションを得ることができました。これにより、職務教育とその機会を与え、そして薬物・アルコール依存防止コミュニティとリハビリプログラムへの資金援助が可能になったのです。
2015年に取引が始まって以来、Pontiac Groupはさらに48人もの原住民投資家を集めることができました。「私たちは、原住民ブランドの企業を作り上げています。Pontiacは、カナビスに対する原住民の声です。」と説明します。
Taylor氏は、カナダ中の原住民のリーダーが集まる北オンタリオ州開催の条約委員会へ車を走らせます。カナビスに関しては、植民地化とカトリック主義により未だに悪名高いものとされます。族長とPontiac Groupについて話す機会があることは、それらの現在の認識にチャレンジしていく機会でもあります。「Delshen社は各植物が治癒目的で利用されることを理解し、医学、薬学的なものに注力していること、そしてこのビジネスはFirst Nationsにプラスになることを説明します。」とTaylor氏は言います。
族長は、経済的ポテンシャルのあること、コミュニティにビジネス力を築く良い機会であること、家父長主義の金銭構想から抜け出せる機会であることは理解していると、Taylor氏は言います。
「多くのコミュニティには投資に関するポリシーがあり、これが挑戦する機会を奪っています。これは、カナダだけでなく他の世界各国でも、原住民が抑圧され、伝統的な方法で追いやられてきた一つの例です。」とTaylor氏は語ります。Pontiac Groupは、カナダの台頭するマリワナ市場をFirst nationsの経済を活性化する機会と捉えています。
また、Taylor氏はこう言います。「置いて行かれたくない、というFirst Nationsコミュニティの否定できない観念があります。」
WinWinの状況
Wahgoshig First Nationは、人口約250人、ケベック州の西の境界線近くの、トロントから北に400マイルの場所に位置します。地域産業と言えば、伝統的な炭鉱と林業がほとんどです。Delshen社は以前松の種苗場だった40,000m²の土地を数百万ドルをかけて改修しました。この土地は現在、新たな投資と新たな機会の象徴になっています。
Wahgoshig First Nationの責任者であるMylon Ollila氏は言います。「医学的マリワナへの投資は、間違いなく伝統的な経済開発からの脱却となりました。北オンタリオ州の産業である炭鉱や林業は、皆がやりたいわけではありません。これは、他のフィールドでも素晴らしいキャリアを近所で積むことができるのです。私たちは、これからも伸ばしていく必要のある新たなスキルに注視していきます。」
Ollila氏は、これはコミュニティにとって借入資本利用をする良い機会であると考えます。彼は、カナビス生産企業であるDelshen社が銀行からローンを借り入れすることはできないこと、それでも資金を増やしていく必要があることを知っていました。そこで、コミュニティがDelshen社と協力し、道理の通ったやり方で取引を行いました。Delshen社が生産ラインの認可を取得するとすぐに、設備を担保にローンを確保し、またそれを株への変換が可能というものです。「これにより将来的に配当金を作り出すことができます。これは、私たちの経済開発の中で一番の機会です。」とOllila氏は言います。
この模範的な経済実績により、Wahgoshig First Nationは、First Nations財務機関から非常に低い利率で借入ができるようになりました。Ollila氏は、オンタリオ州でひと握りの借入れ者しかいないことから「見事なエリートクラブ」と、表現しました。
「いくつもあるコミュニティの中で、このような借り入れの機会があることはとても珍しいことです。なぜなら、すべての資産が留保された状態でどのようにコミュニティがお金を借り入れできるというのでしょうか。コミュニティセンターを一例として、どうして銀行が使用できない資産に対して留置権を働かせることができるでしょうか。すでに留保された資産は価値のないことと同じです。これは他の多くのFirst Nationコミュニティにはできない経済開発の機会でした。」
修正される歴史
1876年、カナダ政府は、文化破壊的な法令で政府が原住民の身分、土地、資源や資金をコントロールできる、原住民条約を制定しました。ここ数年では、カナダ政府が原住民条約を認識してから、大きく修正されていきましたが、これが原住民の土地で経済開発のバリアとなっている最大の原因の一つです。
2004年には、Haida Nationとブリティッシュコロンビア州の間でカナダ最高裁判所が下した結論は、王は、原住民が主張する土地を開発する前に必ずアボリジニグループに相談をし便宜を図る必要がある、とのことです。産業はもはや強制的に土地を略奪することができなくなったのです。Ollila氏は言います。「インパクトの大きな産業は、必ずFirst Nationsとビジネスをする必要がでてきました。」
「First Nationsと関係のある産業や、特恵契約によってFirst Nationsを魅了するビジネスというのは、First Nationsがさらに投資をしてジョイントベンチャーパートナーシップを作ったり、歳入を増やすだけでなくビジネスの幅を広げることへ繋がります。私たちのように、独立した会社経営が様々な形で可能になるのです。」
NK’Mip Cellars社は北アメリカで初めて原住民所有のワイナリーで、ブリティッシュコロンビア州のOsoyoos First Nationが経営します。ユーコン州のVuntut Gwitchin First Nationは、エアノースエアラインの49%のシェアを保持します。ノバスコチア州のMembertou First Nationは、コンベンションセンターなどのローカルビジネスを多様化しました。抑圧的なシステムにも関わらず、Pontiac Groupなどの起業家たちは繁栄への道を探し出したのです。
新たな産業の台頭は、新しいパートナーシップを作るチャンスでもあると、Ollila氏は言います。「もし何かFirst Nationsの経済開発で役割があるとすれば、それは産業パートナーシップの促進です。カナダ政府は、この台頭する市場を見逃しているのですから、これを良い機会としてさらにFirst Nationの経済開発を進めるのが良いと思います。」
多様化するカナビスの状況
カナダのカナビス産業はほとんど例外なく信用のおけるものです。Pontiac Groupのおかげで、49のFirst NationコミュニティがサインしたDelshenは異常な値ですが、これでカナダの最も多様性のあるカナビス企業となりました。多様化は現在進行中で、Pontiac Groupは現在、First Nationsとパートナーシップを組んだ案件で、国中に5つの設備を建設中です。
Pontiac Groupの目標は、First Nationsを纏めて原住民国家開発として歳入の流れを作ることでコミュニティに返還することです。Wahgoshig First NationとDelshen社との間の取引は、コミュニティの安泰に向けた経済のエンジンです。」とTalor氏は言います。
Ollila氏も賛同します。「Delshen社を見るのは、医学的マリワナの市場が成長していることを理解したからです。この産業への投資は、First Nationsへの本格的なモデルとなるでしょう。実際に、Wahgoshigで長期的に見て清算できているのがわかります。」
出典:Leafly
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