「イェール大学のビジネススクールにいる頃、周りの友達はみんな大麻の会社をつくりたいといっていた私のことを笑いました」とエベール・イフェディグボいいます。「その同じ大学で今は大麻のコンファレンスが開かれています」。オークランドで設立されたフッドインキュベーターの共同創設者であるイフェディグボは、新しく合法な大麻の業界の発展を黒人社会で経済的、社会的に力をつける絶好の機会とみています。

 

イフェディグボ、マーティン、そしてホーニングが共同開発したビジネスサポートセンターは合衆国のなかでも新しい試みです。このセンターは社会的マイノリティーをターゲットとしており、違法な麻薬所持者から合法てきなビジネスマンと人々を更生する珍しいものとなっています。

 

イフェディグボは大手企業が市場を占領する前に、裏組織で活躍していた人はその経験を活かしながら合法的な産業で活躍していくべきだと信じています。

これこそがフッドインキュベーターの目的です。スローガンの一つは、「闇市場をグリーンエコノミーにつなげていく」ともなっています。

リンダ・グラントはフッドインキュベーターが設立したすぐあとの2016年にこの会社のことを耳にしました。東オークランドにて長年違法的に大麻の商売をしていた彼女は、新たに発展した大麻業界に進出できないいらだちをフェイスブックにて投稿していました。

 

「新たな大麻のお店や宅配サービスができる中、そのうち大半は白人が経営していました」とグラントは語ります。「それに対して、私はマリファナのせいで何回も逮捕され、いまだに刑務所内にいる人も知っています。その上長年ここで商売していたにもかかわらず自分の町で仕事を見つけられないのはおかしいはずです」。

 

グラントがフェイスブックに投稿したものに対して彼女の友達がフッドインキュベーターを紹介しました。最初は不信感をもっていたものの、オープンミーティングに行ってみると、会社が新たなビジネスマンを育て、サポートするだけでなく、オークランドの株式法をも変えていく方針があることを知りました。

 

「私は警察の暴行に対しての抗議者です」と彼女はいいます。「市役所に直接行くことには大賛成です」。

グラントはまた、彼女自身にもオークランドの株式法が適用されることにも気づきました。長年の大麻に対する厳しい対処を根拠として選ばれた地域に生涯住んできたことによってプログラムに該当しました。また彼女は少量の大麻の所持によって何回か逮捕され、有罪となり刑務所に一週間勾留されたこともあり、これによってもプログラムに該当することができました。

 

オークランド市の政府のホームページによると、「株式法に該当するものは、1996年11月5日以降オークランドにて大麻所持で有事判決を受けたものか、過去20年間のうち10年間で異常なほどの大麻所持に関する回数逮捕されたものとする」。さらに、条件として2016年にて年間所得がオークランドの平均的な所得の80%以下であることもあります。

 

新しい企業の保護

フッドインキュベーターでは、株式法の申請者を既に存在する大麻の企業と連携させ、企業が住居とビジネスの保護を申請者に対して行えるようにします。

 

グラントはオークランドの食品会社、グンミ・ケアと提携しました。当初は個人経営を検討していたものの、費用や許可証の執行などの壁にぶち当たり、断念しました。そこで打開策としてお店を立てるのではなく、宅配サービスにすることによって最初に必要となる費用を軽減し、ライセンスを取りやすくし、お店では高すぎたり、近くにお店がなかったりして購入できない人たちにも大麻を提供できるようにしました。

 

「私は人生ずっと大麻を売ってきました」とグラントは語ります。「ならその許可証を得ようと思っただけです。」

 

6人の子供を持つ彼女の目的は、企業帝国を建設することでも大麻を進化させることでもありません。ただ仕事とコミュニティを広げることを目的としているまでです。彼女はそのうち自分のコミュニティの人を雇ったりしてトレーニングさせ、自分たちのスキルを磨き、いずれは自らの商売を作っていくことを期待しています。

 

大麻の合法化は警察をよりよくするための大きな一歩だと思うかどうかを聞いてみました。

 

「こんなもん警察改革なんてよべません」と彼女は迷わず答えました。「彼らはいつでも私たちを犯罪者あつかいする理由を見つけだしてきます。今でも公共の場や道端、車の中などで大麻を使用されれば逮捕されます。じゃあ、公的住宅に住む人はどこで吸えばいいのか聞きたいですよ」

 

しかし合法化は彼女の政府に対する見方は変えました。

 

「この一連の動きはローカルに物事が変わっていくことを私に気づかせてくれました」と彼女はいいます。「私からみると政府は人々を抑制するためにあると思っていたで、私はある意味アナキストかもしません。しかし政府が積極的にこの法案を通したところを見ると、自分も市議会に入りたいと思うようになりました」。

 

困難はまだ続く

オークランドのこのプログラムは画期的なものの、不完全でもあります。資金はまだ小さく設立したての大麻企業が賄っています。彼らはそれと同時に大量の資金を持つ大手企業と戦い、規制とも戦い、莫大の税金を払わなければなりません。そしてこれらを普通の企業が持つ銀行ローンや税額控除などなしにやらねばなりません。

 

オークランドでは、これだけでなく低所得兼に住む社会的マイノリティーとしての困難も多くあります。犯罪歴をもつものも少なくありません。フッドインキュベーターの共同創設者も、まだプログラムを評価するには早いと語っています。

 

「ライセンスをとったからといって、ビジネスを保ち成功するほどのサポートを受けられるとは限りません」とイフェディグボはいいます。「しかし恐怖や想像力が欠けていることを理由として、何も変えていかないのは間違っています。」